キャンプ場経営を思いついた

 宿泊仲介サイトVacation StayやAirbnbへの登録をめぐっていろいろ調べているうちに、私の住所と同じ那珂川町にある「サンタヒルズ」という宿泊施設が目についた。

 この施設には七八年前に、コーヒーを飲みに一度訪れたことがある。

 森の中にあってコテージやキャンプ場などいろいろな施設があると聞いていたが、夜行ったのだが、喫茶室には誰もおらず、並んでいる民芸品をぼんやり眺めているうちに、しばらくしてから中年の女性が出てきてコーヒーを入れてくれたのだった。あれ、栄っていないのかなとおもったものだが、実は盛況だということを後で人を介して聞いた。

 楽天トラベルと「るるぶトラベル」で、同じ町ということでweb広告で同時に表示されることが結構あって、そのとき柿農園6700円、サンタヒルズ4500円とそれぞれのプランの最低料金が表示される。

 それで今回サンタヒルズはVacation STAYとAirbnbに掲載されているか調べる気になったのだが、両方とも掲載されていないということが分かった。

 そして、私は何ということはなしに、キャンプ場はどうなっているのだろうとサンタヒルズのホームページを紐解いたのである。

すると、一区画は10mの四方の広さ、つまり100㎡なのだった。それが全部で50区画ある。料金は一区画の利用料4000円が基本料で、その他大人800円、子供400円。バーベキューセットやその他の資材食材は別料金とある。これだと大人二人、子供二人の家族で利用すると、基本料金だけで4000+800×2+400×2=6400円となる。旅館に泊まるよりは割安ではあるが・・・。

そこで予約状況を見ると、直近の二ヶ月は土日曜日は満杯状態ではないか。親子4人の利用として、基本料金だけで一日の収益は6400円×50区画=320000円である。土日利用の一泊の月4日だけと計算しても320000円×4日=128000円となる。月128万円か、ほほう。これは・・・!! とおもい。同時に頭に閃くものがあった。

――柿農園にもキャンプ場を作ってはどうか

サンタヒルズは平坦地であるが、我が柿農園は丘の傾斜地にある。しかし、傾斜地を登り切った丘の尾根の部分は平坦で、広さは1haぐらいはある。ここは以前はミニゴルフ場にしようとか、テニスコートを作ろうかとか、検討した場所だった。ここから眺める田園風景は美しく、素晴らしいのである。そこをキャンプ場にしたらどうだろう、と閃いたのである。

サンタヒルズの50区画は100㎡×50区画=5000㎡で50aの広さでしかない。我が柿農園は全部で4ha=40000㎡あるのだから、サンタヒルズのキャンプ場の8倍の広さがある。キャンプ場を作っても余りがある。可能性は十分である、と私はおもった。

そこでキャンプ場にするためには許可が必要なのか、とかいろいろ調べ始めた。

 許可うんぬんはそのうち保健所で確かめようとおもうが、ネットで調べた範囲では、一般のキャンプ場なら広さに関係なく許可はいらないという。ただし、車を乗り入れることが可能なオートキャンプ場の場合は、1haを越えると都市計画法にかかって許可をとらなければならないという。要するに駐車場とキャンプ場を分けて車が入れないようにすれば、許可は必要ないということのようである。

 だから、駐車場を別に設置すれば、我が柿農園にキャンプ場を作ってもなんら問題はないようなのだ。

 幸い丘の尾根の部分にはおあつらいむきといわんばかりに北側に町道が隣接して東西に伸びている。そこから設置した駐車場に入って貰えばいい。50台ぐらい分の駐車場は楽に設けられるし、50区画くらいのキャンプ場を作ったってまだ十分な空きがある。なにせ雑木林や楓林などを合わせれば1.5haぐらいはあるのだから。

 サンタヒルズは森の中で周りを見渡せないが、我が柿農園はキャンプ場にしようとおもっているあたりは裾の我が家から高さ50メートルぐらいの丘の上で、美しい田園風景を見下ろせるし、ヤッホー! と叫べば、その声が前方の山並にぶつかって、ヤッホー、と何重にもなってこだまとなって返ってくるのだ。そして、松林、楓林、竹林、雑木林、百本の柿畑、など豊かな観光資源と言っていい自然が眠っている。そういう意味ではここはサンタヒルズ以上にキャンプ場に向いていると言っても過言ではないだろう。ここを生かさない手はないと強くおもえる。私の中に熱いものが湧いてくるのを感じた。

――キャンプ場にすれば、きっと来る方々に喜んでもらえるに違いない

 そう口の中でつぶやいているうちに、身体の内にやる気と嬉しさが溢れてきた。

 私はここ数年、相方の影響で哲学を学び、特に潜在意識を人生に生かす方法を分析理解し実践してきた。

 その中で、おもうことは大事で、そのおもいが信念にまでなればほとんどその通りになるということが分かったきた。それで、

――月収40万円

 とおもい、念じ、繰り返し口の中でつぶやくことを決めたのである。

 その内容は具体的には、キャンプの区画をまずは40区画とする。そして、一区画を5000円とする。5000円×40区画=200000円。土日曜日にその半分が入るとして、100000円、それが月4日として、100000円×4日=400000円。

 願いは達成した後のことを強くありありとイメージすれば必ずそうなるということなのである。私は達成した後の嬉しさや充実感を心に繰り返し想像している。

 私は丘の尾根に毎日出向き、車で乗り入れてもらうオート区画サイトをどこにするか、自由にテントを張ってもらうフリーサイトをどうするかなどを検討した。

 植木屋に返してもらった夏椿が立っているあたりがオートサイト向いているようだし、柿が立っている間がフリーサイトによさそうである。ざっと見たところ、ちょっと手入れをすれば、オート区画サイトが15区画、フリーサイトは25区画、合わせて40区画はすぐにでもいけるようである。とりあえずはそれで開設しようと心に決めた。

 そして、少しずつ手入れをして、来年の夏をめどに、「サンタヒルズ」と同じ50区画にしよう。

 チェーンソーで夏椿を間引いたり、刈払機で草を刈るなどの作業を開始した。そして、栃木県北保健センターに電話した。

 おおむねはネット検索で調べた通りだったが、キャンプ場の広さとオートキャンプ場の部分が違っていた。ただキャンパーに土地を貸すだけなら、広さも車を乗り入れるかどうかは、規制などないのだった。

料理をだすとか、バンガローにするとか、入浴をさせたり、常設テントを設置したりしない限り、許可申請も届も必要ないとのことである。テントを常設するのではなく、テントを貸すのはどうかと確かめてみると、それは問題ないとのことだった。

 かくてキャンプ場開設という夢(願望)実現は確実になったわけで、あとは集客をいかにすべきかという段階にすすんだことになる。

 集客はこれまでのノウハウがあり、自分のホームページと楽天トラベルに掲載宣伝すれば、今年はともかく来年の春ごろからは少しずつお客さんが来るようになるのではないか、とおもう。

昨夜さっそく、ホームページに「柿農園ファミリーキャンプ場」のページを作って公開した。
 ともあれ、目標があることはいいことで、丘の上の尾根部分に行ってやる草刈にしても、枯れ枝片付けにしても、遣り甲斐があるし、楽しいのである。

 

2018年10月11日