アロエパワー

――○○さん、アロエパワーですよ

 私は、大きなタケノコを五、六本胸に抱えて、お客さんが居る場所まで小走りに降り、それを下しながら、お道化た声で言った。アロエジュースを飲んでいるおかげでこんなに元気なんですよ、という意味を込めていったのである。そして、

――うれしいな、楽しいな、ついてるな

 とつづける。これは、歩いているとき、作業しているときなどの、私の口癖なのである。こう口にすると、楽しいし、疲れない。自分にツキがくるような気がしてくるのである。 

 ○○さんは、相方が手掛けているアロエジュースのネットワークの直ぐ下の世代の方で、東京から自分の仲間を連れてタケノコ狩りにきていた。すぐ下の世代が活性化することは相方にとっても望ましいことなので、私も協力して歓待に努めていたのである。

 竹林は丘の斜面にあり、上で掘ったタケノコを下まで運ばなければならない。上では相方と知り合いがタケノコを掘っていて、私はそれを運ぶ役目だった。○○さんと一緒にきた私と同年代の男性はタケノコを二、三本掘ったがへばってしまったらしく、私が運んだタケノコの皮をむいている女性たちのそばに腰を下ろしている。その男性を横目に、私は斜面を100mほど五、六回は往復したろう。私だってここに住み着いた十年前は、竹藪のある丘の中腹まで登るだけで息切れしたから、男性と変わらなかったのだ。しかし、今は当時より格段の体力がついたという自覚がある。当年73才になる私の小学校の同級生は約30人だが、男は生命力が弱いというか、半数は他界してしまった。存命してはいても、癌だとか何らかの病気持ちばかりで健康を維持しているのは、私ともう一人しかいないというていらくなのだ。

 私は若い頃は四度に渡る胃十二指腸潰瘍での入院、ヘルニアに悩み、しょっちゅう風邪をひくなどひ弱だったのが、相方の家に住み着いてからめきめき健康体になったのである。若い頃健康でも年と共に衰え病気がちになるというのが普通だろう。私の場合、七十を超えてますます体力がついたのだから稀有な例に違いない。栄養のバランスの取れた食事、学んだ哲学による心の安定、農業での肉体労働、宇宙を感じられる大自然の中での生活、など私の健康の要因はいろいろ考えられるが、私はアロエ関連の健康補助食品を摂取するようになったことも、大きいとおもっている。


 先日、しばらくぶりに貸家にしている大田原の私の家に出向いたとき、近所の人に声をかけられた。

――斎藤さん、あなたと同年代の独り者はみんな死んじゃいましたよ

――ええっ・・・

――そうなのよ、だれだれさんも、だれだれさんも、・・・相次いで亡くなったわ

――そうですか

 一人一人の顔をおもいい浮べながら、感慨があった。聞くと白血病、脳梗塞、癌、糖尿病などであるという。人生百年時代といわれる昨今では、七十代前半で亡くなるというのは早すぎるといえるだろう。相方の家に移り住んで十年近い年月が流れたのだが、もし、相方と出会えずここにずっといたとしたら、とおもう。

――一人暮らしをつづけていたら私だって今頃はもうこの世に居なかったかもしれない

 妻が亡くなった年、医院で検査を受けた。胃が爛れ炎症を起こし、十二指腸に小さい潰瘍が出来ている。また、軽いが脂肪肝になっているという。右肩上の首の根元に大きな塊が出来、痛いので近所の外科で見てもらうと膿が溜まっているから切りましょう、という。結果的に二度切開手術を受けたが、傷口の消毒が痛いの痛くないのって半端ではなかった。薬剤をしみ込ませたガーゼを挟んだピンセットを傷口にこじ入れて消毒するという原始的な治療で、私はイタッ、イタッ、と声をあげずにはいられなかったものだ。

 長年の介護、ビールの飲みすぎ、体力の消耗で、免疫力が衰えていたのだろう。相方によると、首の付け根に出来物ができるというのは、あまりよくない兆候であるという。身体が相当弱っている、とか、内臓のどこかを患っている、とか。

 妻没後一年たって出会った相方は、生気がなく失意と空虚を漂わす私に同情を覚え、

――このひとを健康にしてあげたい

 と、おもったという。以後その言葉通りになったのだから、感謝以外の言葉がないのである。

 同年代の多くが亡くなり、生きてはいても病気を背負っている人が多い中、私は斜面を何度も往復して平気な体力がある。相方のおかげというか、アロエのパワーだとあらためておもう。アロエがポパイのホウレンソウのような役割を担ってくれたのだ。

 アロエジュースの良さについては再三述べてきたが、冒頭のアロエパワーの意味を記述したい。

 アロエジュースならびにその関連製品は健康補助食品である。要するに食べ物であって、薬でも強壮剤でもない。それがどうして、私の体力をつけたのか。


 私は知識がなかったのだが、人間の身体に必要なものは主要栄養素の他、必須微量栄養素というものがあり、これは四十七種類にのぼるという。微量ではあっても必須なのだから、必ず必要で、もしも一つでも欠けると、体調不良や何らかの病気になってしまう。

 私が持っていた知識は、栄養のバランスの取れた食事を摂るべきということだけで、必須微量栄養素という知識がなかったのだ。多分、このことは知らない人が多いのではないだろうか。

 そして、問題なのが、現代の食べ物では、この必須微量栄養素を全てを摂取することは難しいということなのである。食べ物は米野菜などの作物の他、肉、魚介類、などだが、普通の家庭で食べているのは何種類ぐらいだろうか。せいぜい十種類前後、どんなに多くても二十種類ぐらいではないだろうか。それらの食べ物に四十七種類の必須微量栄養素が含まれていれば問題はないのだが、組み合わせによっては、どうしても摂れない栄養素が出てくるのは必然ではないだろうか。栄養素というものは目に見えないものだから、書物などを調べて献立を考えなければならないのだが、普通はそこまではしない。

 私の場合は主要栄養素の知識はあっても、必須微量栄養素のことは知らなかったのだから、何をかいわんやである。今にしておもうと、栄養価を考えた食事を摂ってはいても、胃潰瘍、椎間板ヘルニア、を患い、しょっちゅう風邪をひいていたことが納得できるのである。必須栄養素の何かが欠けていたのだろう、とおもう。

 アロエジュースには四十七種類の必須微量栄養素はもちろんのこと、合計八十種類余の栄養素が配合されているという。私がアロエジュースや関連製品を愛用するようになって、まもなく身体に力が湧いてくるように感じられたのは、身体各部に必要不可欠な栄養素が行き渡るようになったからだろう。別な言い方をすると、私には何かが不足していたから、体調不良のことが多かったのだが、その不足していたものとは、必須微量栄養素のうちのどれかだったと類推できるのである。

 さて、現代の作物、たとえば野菜など、農薬や化学肥料の使用によって、本来あるべき栄養素が欠けていたり、毒素が含まれていたり、また遺伝子組み換えなどの問題もあって、理想とは程遠い現状があるようだ。その点、アロエジュースは欠けている栄養素を補完してくれるし、また解毒作用もあるという。十年前に現在の相方に出会い、再婚したのだが、そのことがきっかけとなって、アロエジュースを愛用するようになり、ついてるなあ、と改めておもうのである。


 私は何よりも健康が大事という思いから、アロエジュースだけではなく、同じFLP社で購入できる解毒作用のあるプロポリス、強精強壮作用があるポーレン、筋肉筋力をつけるというプロテインも摂っている。まあ、健康のためにはお金を惜しまないということなのだ。アロエを勧めても、お金が惜しくて愛用に踏み切れない人は結構多い。そして、その中で病気になって死んでしまった人は何人もいる。確かに私が愛用している製品は決して安いものではない。しかし、健康を損ねて病院で払う治療費よりは安い。たった一度だけの人生である。お金を出し惜しみして、貯めたところで何になろう。人生百年時代といわれる昨今、あと二、三十年は生きなければならないのだから、私は人が何と言おうと、アロエジュースで行こう、とおもっている。

 おかげさまで、斜面の畑や竹林、松林、楓林など、苦もなく上り下りして仕事ができる体力を維持している。この十年は風邪一つひくことなく、歯の治療以外で病院に行ったことはない健康体である。有難いことだ。

アロエ様様である。

2018年05月13日